「頑張って」まだ街が真っ暗な午前4:30。玄関先でその言葉を背負い、私は1泊2日の島根遠征へと出発した。4人の息子たちはまだ深い眠りの中だ。2日間家を空ける。少しでも妻の負担を減らすため、出発前に洗濯、風呂掃除、そして朝食のおにぎり作りを済ませた。パパとしてできる最低限の準備。妻の言葉に甘え、覚悟を決めてハンドルを握る。
新1年生7名、未知のステージへ

今回の遠征には、2日前に入学式を終えたばかりの中学1年生7名が加わった。喜びよりも不安の方が大きいだろう。それは生徒だけでなく、送り出す保護者も同じだ。今回は私とコーチに加え、2年生のお父様が保護者代表として同行してくれた。貴重な休日を削っての協力。本当に頭が下がる思いだ。ハイエースとセレナに分乗し、2時間半の移動を経て島根県安来市へ到着した。
圧倒的なスケールと「縁」
この合宿は島根県を中心に中四国から約70チームが集結するとてつもなく大きな規模だ。私たちの割り当てられた体育館には、島根、鳥取、岡山、広島の6チーム。これだけの環境を整えてくれた島根県中体連のスタッフには感謝しかない。生徒たちにとって、これ以上ない経験の場だ。
8:00に会場に到着した時にはすでにネットは貼られており、控え室まで解放されていた。逆算して会場の中学校教員は7:00頃には体育館へ足を運んでおられるであろう。ありがたいと思うと同時に働き方改革という視点で考えると難しさを感じる。やはり、生徒たちに最高の場所を準備するには誰かが無理をする必要があるのだろうか。
それにしても頭が上がらない。
1日13セット。泥臭く、前へ

今回の遠征テーマは**「チームになる」**こと。岡山選抜の練習会と重なったためスタメン2名が抜けている状況だ。ベストメンバーではないがその分1年生も多くの実戦を経験した。消化したセット数は、1日で13セット。生徒たちはクタクタになりながらも、互いにフォローし合い、泥臭くボールを繋いだ。万全ではないからこそ、全員でカバーし合う「良いゲーム」ができたと思う。
1日で13セットというと3セットマッチの試合が4~6試合分だ。かなりしている。
生徒たちはやり切った表情でホテルへ向かっていった。
交流の夜、そして家族への想い

宿は何度か利用している「松江ユニバーサルホテル」。 遠征慣れした上級生たちの落ち着きぶりには、頼もしさを感じる。私は生徒をコーチと保護者に託し、指導者の懇親会へ向かった。ここでの出会いがまた熱い。意気投合した監督と、次の練習試合の約束を取り付ける。まさに「縁結び」の名の通りだ。
ふとスマホを見ると、妻から写真や動画が届いている。まだ喋れない三男からのテレビ電話。いつもいるはずのパパがいないことに、彼なりに違和感を感じているのだろう。画面越しに聞こえる長男の「お土産買ってきて!」という元気な声。
「きっと今日も、家はカオスなんだろうな……」
そう思うと、改めて妻には頭が上がらない。私にできることを、やるしかねえ。
4人の子供を育てながら、バレーボールクラブを運営する。 客観的に見れば、決して「普通」ではない取り組みだ。私一人の力では、到底ここまで来られなかった。
妻の支え、子供たちの情熱、そして周囲の理解。 そのすべてに感謝しながら、私は私にできることを全力でやるだけだ。
明日の2日目も、一歩でも「チーム」に近づいて帰ろう。やるしかねえ。


