5月16日〜17日の2日間、大芦高原のスポーツ施設に岡山県のヤングバレーボールクラブ5チームが集まり、合同合宿を開催した。
参加は以下の5チームだ。
- ABC(岡山市)
- 井原クラブ(井原市)
- フェニーチェ備南(総社市)
- dreams bloom tamano(玉野市)
- 岡山北sfivo(岡山市)
今回は、県外へ遠征してバレーの技術だけを競うのとはわけが違う。同じ岡山県内で活動するチーム同士が寝食を共にし、交流を深め、ゲームをこなす。目的はただ一つ、「チームビルディング」だ。
今回は、この合宿のドタバタの舞台裏と、私が感じた合宿の本当の価値について書きたい。
合宿のスタートは「午前3時30分」から始まっている

合宿初日、会場への集合時間は午前9:00。逆算して自宅を出発するのは7:10。 しかし、4児のパパである私の朝は、世間が動き出す遥か前から始まっている。
起床は、まだ外が真っ暗な午前3:30。
ここからノンストップの戦いだ。洗濯機を回し、お風呂を徹底的に掃除し、家族の朝食を作る。さらに、子どもたちが昼に食べるためのカレーの仕込みまでを一気に終わらせる。6:30ごろに目を覚ました子どもたちが起きてくる頃には、主要な家事はすべて完了している状態だ。
なぜ、ここまでやるのか。 理由は明確で、私はこれから「34時間」も家を空けることになるからだ。その間、妻はいわゆる「ワンオペ」で4人の子どもたちを育児することになる。言葉には出さずとも、妻の心の中にある『夫には大好きなバレーを全力で頑張ってほしい』という応援の気持ちと、『そうは言っても、土日のワンオペは体力的にも精神的にもしんどいし、寂しい』という本音は、痛いほど伝わってくる。
だからこそ、できる限りの家事はすべて済ませてから家を出る。それが送り出してくれる妻への最低限の誠意であり、礼儀だ。 「よし、頑張ってこよう」 心地よい緊張感と、妻への感謝の気持ちを胸に抱き、私は家を後にした。
他チームと寝食を共にする「合宿」の3大メリット

2日間で消化したゲームは、実に20セット。さらに夜はみんなでBBQを囲んだ。 普段の練習試合や遠征とは異なり、ネットを挟まない時間にも他チームとの濃厚な交流がある。
今回、チームビルディングを目的として参加してみて、改めて「合宿」が子どもたちにもたらす絶大なメリットを3つ実感した。
1. 「チーム力(結束力)」の圧倒的な向上
普段の練習だけでは、仲間の「コート上の姿」しか見られない。しかし合宿では、一緒にお飯を食べ、お風呂に入り、同じ部屋で夜を過ごす。 この「生活を共にする」という濃密な時間が、仲間の新しい一面を引き出してくれる。「あいつ、実はすごく面倒見がいいんだな」「意外とリーダーシップがあるな」といった気づきが、コート内での強い信頼関係(=チームワーク)へと繋がっていく。 厳しいスケジュールを全員で乗り越えたという共通の経験が、「この仲間となら頑張れる」という強い絆になるのだ。
特に、クラブという性質上、チームメイトの在籍する中学校は分かれている。チームビルディングの重要性は一昔前より、さらに大きくなっているのかもしれない。
2. 「自立(自律)」と「協調性」を育む
親元を離れて過ごす合宿は、子どもたちの人間性を大きく成長させる絶好の機会だ。 ここでは「自分のことは自分でする」が鉄則。準備、片付け、時間の管理など、誰かに言われる前に自分で考えて行動する「自立」が求められる。 また、集団生活のなかでは周囲に目を配り、協力し合わなければ物事がスムーズに進まない。年下の子の面倒を見たり、役割を分担したりすることで、社会性や協調性が自然と身に付いていく。
3. 非日常空間での「人間関係の再構築」
学校やいつもの体育館という「日常」の枠から一歩外へ飛び出すことで、良い意味でチーム内の関係性がリセット、または強化される。 少し気まずかった関係がフラットになったり、新しい友情が芽生えたり。非日常の空間だからこそ、素直になれる瞬間がそこにはある。
子どもたちの笑顔と、これからの地域スポーツのあり方

合宿中の生徒たちの表情は、本当に生き生きとしていて、明るい輝きに満ちていた。バレーボールという競技を通じて、心から楽しんでいるのが伝わってきた。
今、学校部活動の地域移行(地域展開)が急速に進んでいる。それに伴い、練習時間が制限されるケースも増えた。確かに、教員の働き方改革や負担軽減を考えれば、これは時代の流れとして致し方ないことだと思う。
しかし、 こういった「合宿」でしか経験できない、数字には表れない大切な成長の機会まで、すべて無くしてしまって良いのだろうか?効率や制限ばかりを優先して、すべてを封鎖してしまうのはあまりにももったいない。 生徒たちの成長の場を最大限に確保するために、何ができるか。
これからも時代の変化に柔軟に対応しながら、新しい取り組みを模索し、子どもたちが全力でスポーツに打ち込める環境を整備していきたい。それが、あの大芦高原で見せてくれた子どもたちの笑顔に対する、大人の責任だと思うから。
それでは、我々指導者はどうしたら良いのか。やはり、各々のチームの最適解を模索していくしかないのだろう。やはり結論はこれ。「やるしかない」のだ。


